中国の薬学書「名医別録」に記載され、 古くから不老長寿の宝薬の「黄精」と考証されている植物はカギクルマバナルコユリです。 カギクルマバナルコユリは中国雲南省の狭い地域にのみ自生する、極めて個体数の少ない野草のため、近代の中国では、カギクルマバナルコユリと薬効が変わらず、根茎が大型で収穫量を稼げるオオナルコユリやアマドコロに近い品種が黄精として数多く栽培されています。
よって、私もこれに習い、自宅付近で収穫したオオナルコユリの栽培、育成の可否の検討を行いました。
初年度の発芽実験で成果を上げられなかった私は、後に中国への再訪などで、黄精の栽培技術書等の文献を入手し、これを日本語に翻訳しました。そして記載内容を忠実に守り、また私の住む地域の気候環境を考慮して再び発芽実験に挑んだところ、野生の個体から採取した種子を、翌年に99%以上の発芽率で発芽させることに成功しました。
2008年には、発芽実験に成功した実生苗が3年経過し、その翌年以降に発生した苗を加えて合計6,000株を育て、前年秋に収穫した種子が4,000個になりました。
この後、発芽以降の稚苗の移植と育成管理の技術を確立し、除草と病害虫予防・駆除の知識を習得することができ、今後も毎年実生苗を増やし、問題無く栽培管理が続けられると考えています。
こうして、当研究所独自の技術により人工繁殖、栽培されたオオナルコユリの生苗が「雪国黄精」です。
なお、参考資料として、次のページに日本のオオナルコユリについての解説が記載されています。
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