新潟県妙高市

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雪 国 黄 精
9. 雪国黄精で室内ガーデニング (1)
  住宅の周りや室内に植物を飾り、鑑賞するガーデニングは、人気の高い趣味となっています。
 ここでは、雪国黄精を室内で栽培し、屋内環境との調和や薬草として育てる楽しみなど、その利点について説明します。
 黄精は日陰の多い林の中でも育ち、人工的な手入れを必要としない野生の植物であることから、人間の住環境にも適応し、室内栽培には向いています。
 また、室内に置くことで空気を浄化する作用があり、季節毎に生長し変化する姿を鑑賞する楽しみを味わうこともできます。
 発芽後順調に生育し、7〜10年を経過した黄精は、茎長が1m近くになり、一般的なガーデニング用植物とは一風変わった容姿に育ちます。これが独特の存在感を演出し、室内装飾にアクセントを強めることでしょう。

・ 苗の植付け

 雪国黄精の苗(当研究所で販売します。発芽後2〜3年を経過し、茎長約10cmに生長したものです。)をプラ鉢に植えます。

 左図は、3〜4年後まで植え替えが必要無いように、始めから生長を見越してプランターに植える例です。
 プランター栽培は、充分な容積の用土と水を確保でき、効率的な生長が期待できる育て方です。
 プランターのサイズは、延長65cm、幅22cm、深さ19cmの一般的なものを想定しています。
 黄精の根茎は、地表面から5〜10cm程度の深さで横に伸びるため、プランターの深さは19cmで充分です。

 用土は、ホームセンターで「球根用の土」というチューリップ、ラン用の配合培土を使用します。通気性が良く、根張りが良くなります。肥料も配合されているので、これだけで雪国黄精は活着できます。
 用土には、根の発育を助長するため、砂、砂利分を大量に含まない、有機質の多く軽い土が適しています。
 
 山林、原野などから天然の土を採取して使うのが、天然の土中微生物を取り込むことができ最良の方法ですが、笹の生育している箇所の土は、使わないで下さい。これは私の経験談ですので良く覚えて下さい。野生の黄精は、湿潤な土壌ならば大抵の場所に生育していますが、笹の近くに生えている例を見たことは一度もありません。私は、笹本体または笹周辺の土、水、土中微生物には黄精の生長を阻害する作用があると推測しています。


・ 鉢の選定

 後で述べますが、室内ガーデニングでは鉢のデザインと部屋の調和も重要です。洋室と和室の違い、部屋の色調、黄精の生長度などに適した鉢を選び、苗を植えます。

 発芽後4年程度、茎長10〜15cmの個体はテーブルや棚に乗せるなどして配置し、直径10cm以上、深さ10cm程度の鉢を使用します。(←左図)

 発芽後8年程度、茎長70〜100cmの個体は床や階段に置き、直径25cm以上、深さ20cm程度の鉢を使用します。(→右図)

 発芽後6年程度で、晩春に右図の様に白い花を付けますので、花を観賞する楽しみがあります。
 花は2週間ほど咲き続けます。

・ 栽培ガイド

 黄精は半日陰の環境を好み、耐寒性の強い(−5℃の屋外に放置しても生存できる)多年生植物です。比較的日当たりの良い場所でも良く生長しますが、強い日光に長時間当たると葉焼けが発生して枯れます。気温が30度を超える環境で栽培するには適していません。
 10月頃から葉が枯れ、根茎が越冬します。
 野生種なので肥料はほとんど必要とせず、花粉や種をまき散らさず悪臭も発生しないので、室内を汚しません。

 早く生長させるには、葉焼けしない程度にできるだけ長く日光に当て、活発に光合成させてやることです。こうすることで根茎により多くの澱粉が蓄積されて根茎が大きく発達し、来年は更に多くの葉を付けるようになります。光合成能力は葉の合計面積でほぼ決まるので、葉の多い個体ほど生長力が強いことになります。
 根茎に養分が蓄えられると夏期に芽を発生し、これが翌年の茎に変わります。複数の芽の生えた根茎は、晩秋から冬に分断し、これを移植することで、根茎で増やすことができます。但しこの方法は、茎長が40cm以下の個体では根茎に与えるダメージが大きいため、お勧めしません。

 室内栽培では、暗所または日中高温となる場所に配置しないことと、水やりを欠かさないことが重要です。
 黄精は水分の多い土壌を好みますので、水やりは、土の表面が乾燥しない程度に、水を与えて下さい。
 根茎全体が水に浸かったままになると、腐って死滅しやすくなります。

 肥料は無くても育ちますが、生育状況を観察しながら少量の油粕、発酵鶏糞、腐葉土などの天然有機肥料を与えても構いません。
 根茎を生薬として利用する場合、化学肥料や農薬は根茎に蓄積される可能性があるので使わないで下さい。
 雪国黄精は、当研究所が野生の大型優良品種を採種し、高温と乾燥に強い苗を選抜したものなので、個体の育ち方にバラツキが少なく、適切な環境で栽培すれば、安定した生長が可能であると思います。