雪国黄精の

公開日:平成26年7月30日


歌って覚える閩南語

♪№004   愛 拼 才 会 赢   アイピァージァッエーイァー
歌手 葉啟田  作詞、作曲 陈百潭
この曲は、「金牌台湾歌」CD全集には含まれていません。


 葉啟田は、台湾では「宝島歌王」と称される、超有名な歌手。
 1948年(昭和23年)生まれ。16才で歌手デビューし、歌手として安定的な地位を確立した後に国会議員に当選。立法委員を務めたりしつつ現在も歌手稼業を続けている、息の長ぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~い歌手である。同年出生のミュージシャンにはオジー・オズボーン、五木ひろし、由紀さおり、沢田研二などがいる。
 この曲「愛拚才會贏」は1988年に発売され、台湾を超えて中国大陸でも幅広く知られるなど大成功を収め、閩南語十大經典名曲(♪001:歓喜就好の解説を参照)のうちの一つに記録されている。
 葉啟田自身は歌手と国会議員の兼業で絶頂期にあったが、議員落選後は散財して2013年現在、日本円で3億円を超える負債を抱えるなど、皮肉にもこれまでの人生はこの歌の歌詞の如く有時起、有時落の荒浪を具現するものとなってしまった。

この歌詞の閩南語炸裂度 23.1%
語彙中の閩南語特有の語彙の出現率。
歌詞の表記を見て、普通話の知識では読解できない(概ね中日辞典に見出しの無い)ものを閩南語とする。



 この曲には閩南語歌謡独特のメロディアスな旋律に勇ましく明るい曲調、前向きな歌詞、歌手の快活な歌声という、大ヒット曲の条件がすべて満たされていると感じられます。
 歌詞は1番で完結という閩南語歌謡の様式美を貫いている所も、素晴らしいです。
 歌詞の閩南後炸裂度は23.1%と、やや低いポイントにとどまりましたが、これは台湾歌謡界を超えるメジャー・ヒットを狙い、始めから難解なスラングを使用しないと決めて作られたものと思えます。
では、動画を視聴され、歌の宝島、台湾最大級の歴史的名曲を御堪能下さい。


閩南語歌詞(簡体字表記) ・ ピンイン 日本語フリガナ 上:標準的な閩南語発音 下:この楽曲での発音
イタリック体の表記部分は、日本語の濁音で発音します。
一时失志毋免怨叹 ジッシーシッジーンービェンウァンタン
tsi̍t-sî sit-tsì m̄-bián uàn-thàn ジッシーシッジーンーミェンウァンタン
一时落魄毋免胆寒 ジッシーロッピッンービェンタムハン
tsi̍t-sî lo̍k-phik m̄-bián tam-hân ジッシーロッペッンーミェンタムハン
若通失去希望 每日醉茫茫 ナータンシッキーヒーン モエッズイバンバン
thang sit-khì hi-bāng muí-ji̍t tsuì-bâng-bâng
无魂有体亲像稻草人 ーフンウーテーチンチューディウツァオラン
bô-hûn ū-thé tshin-tshiūnn tiū-tsháu-lâng
人生可比是海上的波浪 ジンシンコービーシーハイシォンゲーポーロン
jîn-sing khó-pí sī hái-siōng ê pho-lōng リンシンコービーシーハイシォンゲーポーロン
有时起 有时落 ウーシーキー ウーシーロー
ū-sî khí ū-sî lo̍h
好运 歹运 总嘛爱照起工来行 ホーウン パイウン ゾンマーアイジァウキーガンライギァー
hó-ūn pháinn-ūn tsóng mā ài tsiàu-khí-kang lâi kiânn
三分天注定 七分靠拍拼 サーフンティーズウディアー  チャッチャッ(手拍子) 
チッフンコーパーピァー チャッチャッ(手拍子)
sann-hun thinn tsù-tiānn tshit-hun khò phah-piànn
爱拼才会赢 アイピァージァッエーイァー       レツ ゴーー!
ài piànn tsiah ē iânn

赤字で書かれた箇所は、合いの手です。

日本語訳 オカダ・システムエンジニアリング研究所

この曲はとても有名なので、幾つもの日本語訳が公開されていますが、中には抽象的なため閩南語学習者の妨げになる恐れのある訳例があります。これを避けるため、私の翻訳は一定限度の直訳になっています。


少しぐらい希望を失っても 嘆いてはいけない
少しぐらい落胆しても 恐れてはいけない
もし失望して良いとしても 毎日酔ってボケーッとしていれば
魂の無い体だけの案山子(カカシ)の様だ
人生は海の荒浪の様に
良い時も悪い時もある
幸運も不運も 規則通り仕事を進めて乗り切ろう
三割は天の定めで 七割は実力で決まる
努力してこそ初めて成功する


注釈

閩南後歌謡曲は、歌の音階が単語の声調に似せて作曲されているものが多く、このために歌を覚えれば単語の発音も覚え易いのです。
この曲では、特に稻草人、怨叹、波浪、行、爱拼才会赢といった単語で、実際の発音に非常に近い音階が付けられている所も、注目に値します。

(1) 1、2行目の毋免は、~するな、~しなくて良い という意味ですが、否定しない「免」も同じ意味です。



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