雪国黄精の

公開日:平成25年9月1日


FMジャンクラジオ (製作費0円) の製作


 今年の7月より、当研究所では久々の大型プロジェクトを開始しています。
 このプロジェクトは、当研究所独自の企画、設計による価値の高い開発商品を販売するというもので、今回の製作はその足掛かりとなる実験です。

 製作したのは、カーステレオ用のFM/AMチューナーユニットを使用した、ボリューム選局式のラジオです。
 チューナーユニットは、TBHK CET−7000という海外メーカーの製品で、旧式になって廃棄されたカーステレオ(ゴミとして入手)から取り外したものです。
 実験の目的は、小型のFM/AMラジオチューナーをPICマイコンで制御するに当たり、電圧をコントロールして選局できることの実証です。
 ラジオの選局回路は、随分昔はバリコンという可変容量コンデンサーを使って同調するものでしたが、近代では可変容量ダイオード(バリキャップ)を使用し、電圧を変動させて選局するという方式に変わっています。
 また、ラジオの受信回路は専用ICを使用し、年々実装面積が縮小されています。しかし小型化すると逆に音質が犠牲になるという傾向にあります。
 私がこのプロジェクトの一機能として要求するラジオの音質は、1980年代のオーディオコンポーネントと同等以上と設定しており、安価な物を使うことは許されません。そこでジャンク品のカーステレオのチューナーを分解して部品集めをしていたところ、LA1787Mという高級なラジオ受信ICを使用したチューナーユニット、CET−7000を発見し、幸運にもネットから回路図を入手することに成功しました。

このユニットは、LA1787Mの機能の他にAM/FM同調、AM高周波増幅、AM/FM VFOの各回路を小型のシールドパッケージに内蔵し、ピン数は26ピンです。
 まず、基本動作検証のため、最低限の入力信号を与えてFMラジオの音声が出力されるか確認しました。
 選局には、FM VT端子の入力電圧を0〜8Vで可変させるためのボリュームを接続しました。

(接続状況)

PLLではなくボリュームによる選局方式のため、選局がずれ易いが、オーディオコンポーネントのFMチューナーと同じ数のラジオ局が選局できた。イヤホンで聴いても、ポータブルFMラジオとは明らかに違う高音質だ。充分な強度の電波を受信すれば、音声に歪みやノイズも無く、目標とする音質は満足している。(音質の検証は、私の所有するオーディオシステムによる。)


↑これで、今まで集めてきたジャンク状態のチューナーユニットが再生使用できる見通しがついた。今後も在庫を増やす予定だ。

 この後、配線をAM受信用につなぎ換え、AM受信においても仕様を満足する動作が確認されました。
 今後は、PICマイコンでVFOをコントロールし、PLLによるデジタル選局システムを作ります。しかしPICは覚えたてのため長時間の学習が必要です。
 ここまでの知識を身に付けるために、ネット上の解説サイトから中間周波数式のラジオ受信回路、VFOによる選局、PLLICの使用法など非常に多くの事を学習しました。私はデジタル回路設計技術で身を立てた者ですが、アナログ回路の技術も論理的で面白いですね。


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